ウィルス
由紀は携帯を床に放り投げ、ベッドの上に立った。








何よりも携帯の近くに居たくはなかった。








もう彼女の携帯はウンともスンとも言わなかった。








その静けさが彼女を更に不安にさせる。









壁を背にして、由紀は左右を見渡したが、何ら変わった様子は無かった。









「何よ…何をするっていうのよ!」









(気付かないの…?)









由紀の耳にぼんやりとした声が聞こえ、彼女の身体から血の気が一斉にひいた。








「誰!誰なのよ!」









(本当に気付かないの?)









「いったい誰なのよ!何処にいるのよ!」









すると、彼女の右手がグイッと曲がり、その掌が彼女の目にとまる。









彼女の掌には、あのドクロが描かれており、厭らしい笑みを浮かべている。








(もう、私はアナタの中にいるのに…クスクス…)












「あ…あぁ…あああああああああああっ!」



















由紀の意識はそこで途切れてしまった。
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