知りたくなかった本当の気持ち
こうやって必死に俺から逃れようと藻掻いてる姿が、堪らない。
ついつい手首を掴んでる力を強めてしまう。
「俺に関係ねぇとか言うな。
誰なんだよ、アイツは。
友達とか、そんな抽象的な答えは許さねー」
そして來奈を独りで占めたくなる。
男と話してるコイツが、俺は許そうとは思えねぇ。
「やだ...。
離して...。
はなし...てよ」
力無く絞り出す來奈の声は、俺に響いた。
聞き込みたい衝動や、こんなに迫り続けてもいいのか、葛藤してしまう。
うつ向いた俺は、來奈の手首を解放させた。
するとみるみる腰が抜けていった來奈。
俺の目の前で座り込んで、赤くなった手首で顔を押さえている。
距離が近いせいで、俺まで座ったら膝と膝がぶつかりそうだ。