知りたくなかった本当の気持ち
「これ…飲みなね」
と言われてペットボトルを渡された。
そして中に入っている水を飲んだ。
「じゃあ俺、先に帰ってる。
おまえ、來奈を家まで送ってあげろよ」
一歩引いたことを若王子は言うと、荷物を持って帰っていった。
「俺も帰るからな。
…後は任せた」
「あ、うん。
じゃあな!」
続いて風磨君の友達であろう人が帰っていった。
「具合どう?」
二人っきりになると、なんだか空気が重い。
だけど風磨君は私に気を遣ってくれる。
「頭が痛いね、まだ」
私は気を張ることなく、今の状況を伝える。
「あ、やべ!
俺ってなんて気が利かないんだ?!
秦野、俺が荷物持つよ。
その方が少しは楽だろ?」
と言って私の返事も聞かず、私の荷物を持ってくれる彼。
それが嬉しくて、ニヤッとしてしまう。