知りたくなかった本当の気持ち

そう思って、すたすたと部屋に向かおうとした。



「一体いつまで遊んでんだ」



すると偶然通りかかった父さんに叱られる。



「すいません」


一瞬だけ目に入った、兄さんの哀しい顔。


何でそんな表情するかも考えず、私は父さんを無視するように歩いて行く。



「待ちなさい!

話はまだ終わっておらん」


迫力のある声で、私を威圧する。



「どこの人の遊んでいたのかね」



遊ぶ…。



私は遊んで帰りが遅くなったんじゃない。



そう思うけど、弁明しようとは思わない。


だけど兄と父さんが私に注目している。



父さんが見る目は、兄さんを見ている時と違う。



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