知りたくなかった本当の気持ち
「嫌なら帰ってよ。

私、ここに長い時間いることになるし」



そう言った私は先に土手を下り鞄を放り投げ、川の方に行った。



すぐにはこっちに来ない彼。



私は今までのことを回想した。



栗橋さんにやられたことや、変わった若王子のこと。



更に風磨君のことまでも。



一通りスッキリすると、私は後ろを向いた。



するとそこには若王子が座っていた。


きっと黙って私が考えに耽っている所を、ずっと見ていたんだろうな。




「落ち着いたか?」



私は予期せぬ彼の言葉に驚く。



ここに来た目的を悟られるなんて、思っていなかったから。



やばい…。 相手はあの若王子だよ?



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