知りたくなかった本当の気持ち
何してくるかわからないアイツに、なに心を奪われようとしてるの?



しっかり気を持たなきゃ!




でも確かに今の私は若王子の言葉さえも、易々と良いように捉えてしまう。




わかってるでしょ、自分が一番。



悪人に気を許すようなことをしたらいけないって。



それなのにどうして…。



今ここで悩みを聞いてもらいたいと思うのだろう。



私は本来あるべき姿になれないせいか、ガクッと膝を曲げた。



もう…自分でも何をしたらいいのかわからなくなった。



「何も…したくない」



無意識の内に声が出てしまった。



それをあいつはちゃんと聞き取るのだ。



「じゃあ俺がちゃんと教えてやる」



こちらに向き直って、真っ直ぐに見て来て。



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