知りたくなかった本当の気持ち
「何?
またここにいるって皮肉りにでも来たの?」
「はぁー?なんだよそれ。
いやー、俺渡瀬に聞いたんだよ。
今日、彼氏ができるんだってなお前に」
若王子の言い方に悪意を感じる。
いやそれ以上だ。
突然の事で今の立場なんか忘れてしまう。
まるで…あの時のようにいじめられるみたいだ。
里桜も里桜で、何でこの人に報告するかな。
もうあんな風に嫌な思いするのはごめんだよ。
私はそう思って、彼の態度に吹っ切る。
「嬉しいよ。やっと私に彼氏ができるんだから。
誰かさんのせいでそういうことに奥手になってしまったけど、ようやく私にもチャンスが訪れたよ。
良かった良かった」
なぜか少しだけ若王子の表情が曇る。
だけど私は気にせずに川の流れを見た。
不満足な彼は私に少しだけ近づいて来た。