知りたくなかった本当の気持ち
椅子に座らされてる私は、ただ面倒で仕方なかった。
本当は嫌で逃げ出したい。
しかし父さんの言うことに逆らうことができない。
何もできない自分を恨むことしかできないのだ。
家政婦の一つ一つの手の動きが早い。
それを見ては、遅くならないかな、手間取らないかな、などと思っている。
「こんな感じでいいでしょうね」
30分くらいが経過し、そんな声が後ろから聞こえた。
自分の変わった姿を見て、家政婦を心の中で褒める。
さすがだと。
ちゃんと見ていたはずなのに、一体どうやって私の長い髪はまとめられたのか、と思うくらい複雑に絡み合っていて。
顔もキレイに施されている。
メイク室に行く前に、部屋に用意されてあった服も着たし。
雰囲気はいつもと全然違うのは、一目瞭然だ。
そして私は家政婦に案内され、和室の前に来た。