知りたくなかった本当の気持ち
家政婦が和室にいる人に見えないようにふすまを開ける。
すると私と目が合うのは、仏頂面の父さんだった。
そしてその横の人にいるのが、恐らく今回の相手だろう。
母さんもいるのだが。
母さんだけが、私の姿を見て感嘆の声を上げてくれた。
それが嬉しかった。
私は父さんの目の前にいる母さんの隣に座る。
正面にいることになる、今回の交際相手。
いや、初めての強制交際相手。
この前父さんが言ってた通り、確かに若い。
「遅かったじゃないか。
お前は私の言うことすら従うことができないのかね」
和室のドアが閉まり、私が着席しようとすると、父さんは口を開く。
そのまま座った私は発言する。
「すみません。
まだ心の準備ができてなかったので」
「まぁいい。