知りたくなかった本当の気持ち
そう彼に言うと、彼は柔らかな笑みを見せてくれた。
それを見た私は安心した。
そして聞こえてくる、車のエンジン音。
もう父さんたちが出発するんだ。
重い気持ちしか生まれない。
「今から來奈さんの部屋に入るのは可能なんですか? 」
外の方に目を向けていると、そう彼から訊かれた。
「大丈夫ですよ」
私はそう言って友達を部屋に入れる感覚で、ドアを開けた。
「ほー」
と小さな声を上げて、私の部屋を見渡す神崎さん。
それより気になったのが、机の上に置かれた物だった。
置き手紙と預金通帳。
來奈へ
これから毎月お金を振り込むから、お金のことは心配しないでね。
足りなくなったらちゃんと言ってね。