知りたくなかった本当の気持ち
ソファから立ち、毛布を畳みながら言う。
「宿題?
ここに持ってきて、ここでしなよ。
何ならわからない所、俺か教えてあげるよ?」
へぇ、神崎さんも私に教えられるほど頭いいんだ。
だけどここで教えられると、少なからず兄さんに教えてもらった出来事を思い出してしまう。
心の中では私を低く馬鹿にするように見ていた、兄さんの事を。
その事が神崎さんとも、いずれか重なってしまうだろう。
今の私にとって、それは嫌だ。
「どーうしてもわからなくて、埒が明かなくなったら、頼りにするよ。
宿題は、自分の部屋でするね」
そう言って、私は神崎さんの部屋を離れた。