知りたくなかった本当の気持ち
この前の態度とは一変して違う。


しかし父さんに認めてもらえたんだって思えて、涙が出そうになる。


「失礼します」、


それでもポーカーフェイスを装って、部屋を出ていく。


「気をつけて帰ってな」


父さんの優しい声を、久しぶりに聞いた。



しかしそれを素直に受け止められない。


...はずなのに。


涙が出そうになってしまう。



私は足早に会社を出た。


「お」


と誰かが声を漏らすのも知らないで、会社の出口の前にある階段を下り、駅の方に向かおうとする。



「來奈!!」


大きな声で呼ばれた名前に驚く。



誰だと思い振り向くと、そこには若王子の姿があった。



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