知りたくなかった本当の気持ち

そう言った來奈は、束ねた長い髪の毛を少しだけ揺らして方向転換。



家に帰ろうとした。


そんな彼女の手首を、俺は掴んでしまった。



「離して!」



ものすごい勢いでぶんぶん手を振って、俺を離そうとする來奈。



それすらも可愛く見えてしまう。



俺は本当に、まだコイツのこと...諦められてなかったんだ。



「まだ帰るなよ!」


「やだ! 離して」



來奈の必死さが俺の胸を痛めた。



力が抜けていって來奈の手首が解放されてしまった。



だから來奈は俺の顔も見ず、走って逃げていった。




ダメじゃん、俺。



前と変わってなかったら、また離れられてしまう。



転校先でできた友達にアドバイスしてもらったことが、何一つできなかった。



< 61 / 444 >

この作品をシェア

pagetop