知りたくなかった本当の気持ち
そう言った來奈は、束ねた長い髪の毛を少しだけ揺らして方向転換。
家に帰ろうとした。
そんな彼女の手首を、俺は掴んでしまった。
「離して!」
ものすごい勢いでぶんぶん手を振って、俺を離そうとする來奈。
それすらも可愛く見えてしまう。
俺は本当に、まだコイツのこと...諦められてなかったんだ。
「まだ帰るなよ!」
「やだ! 離して」
來奈の必死さが俺の胸を痛めた。
力が抜けていって來奈の手首が解放されてしまった。
だから來奈は俺の顔も見ず、走って逃げていった。
ダメじゃん、俺。
前と変わってなかったら、また離れられてしまう。
転校先でできた友達にアドバイスしてもらったことが、何一つできなかった。