知りたくなかった本当の気持ち
何、コイツのこの態度。
里桜がいるからって猫かぶり?
キモい。
「來奈...?」
私が若王子になにも言わないのを不自然に思った彼女は、私の顔を覗き込み名前を呼んだ。
「あ...。秦野です」
さっきとは打って変わって小さな声で名前を言った私。
「よろしく」
そう言って手を差し出した、笑顔の若王子。
握手しろって?
冗談じゃないよ。
私の手をはたいたことあるくせに。
今ここで里桜がいなかったら、絶対この手をはたいてる。
でも里桜がいなかったら、こんな展開にはならないか。
私は里桜の方に向き直った。