知りたくなかった本当の気持ち
「里桜、これあげる。
戸成先輩が作業終わったご褒美に、みんなに奢ってくれたんだ」
戸成先輩には悪いと思ったけど、私より彼を気に入ってる里桜に、恵んであげることにした。
「いいのー?
嬉しいなー!
飲めないや」
里桜にしては珍しい返事だなぁ。
「來奈ちゃん...その...この後...暇かな?」
と、突然自信なさそうに言う若王子。
「もしよかったら...一緒に帰...」
「この後は里桜と予定あるから...」
「いいの!あたしとの予定はまた後日で!
來奈、康君と一緒に帰りなよ」
里桜に同意を求めたはずなのに。
彼女はあっさりと私を裏切った。