知りたくなかった本当の気持ち
徐々にスピードを落として最終的にはその場に止まると、アイツの声が聞こえた。
「あんたがどうこう言わないでよ。
そもそもあんたが悪いんだから」
私は振り返って言った。
「そのあんたって言うの、やめてくれない?
ちゃんと名前で呼んでくれない?」
開き直るように言う彼。
それにイラッとした。
だけど何も言わず、帰り道を歩き出した。
「昔はちゃんと可愛い感じに、俺のあだ名で呼んでくれたのになぁー」
その彼の言葉で、私は足を止めてしまった。
「ねぇ。來奈。
俺、また昔みたいに來奈と遊びたい。
だからまたあんな感じで接するね」
私の耳元で囁く若王子。
もう寒気しか感じない。