私が最後に盗んだもの。
「あんた。
龍様のなんやねん。」
うっわー、この人あれだー!
この高校のギャルトップに立つ。
関西弁の先輩だーっ!
「何って、言われましてもー…
そもそも龍様って…誰ですか?」
「あんたー、まだとぼけんの?
西王子のことや!」
「あーっ!
西園寺くん!」
「…あんた、ほんまに知らんかったん?」
「まぁ、私あんま人に興味ないんで。」
「…ん?」
「なんですか?」
「…あんた、私と同じ匂いがする。」
「…私、香水付けてませんよ?」
「そう言う匂いちゃう!
…なんやろな…」
「…用事終わりました?
わたし、晩ご飯の用意あるんで帰りますー。」
「分かった!!
…あんた、電話なってんでー?」
「え?」
そう言って渡されたのは…
バナナ?
なんで今バナナ持ってるん?
「はい、もしもしー?
って、これ、バナナやわ!」
「さぶっ。」
「えー、振っといてその返しはないでしょー。
まぁ、正直自分でもやってから、鳥肌やばいですけど…」
「でも、よー分かった。
あんた、関西人やろ?」
「まぁ、確かに、高校に通う前は大阪住んでました。」
「やからやなー、あれちゃう?
関西弁聞いたら移ったんちゃう?」
「あー、なるほどーっ!」
「いやー、私もなー、大阪住んでてんけど、親のあれで、こっち引っ越して来てんやん?
ほんなら、やっぱこっちも派手やん?
ほんで、こんなんなったんやー。」
「でも、先輩、そんな厚化粧より、ナチュラルの方が可愛いと思いますよ?」
「…///」
「あなた!
姫〈ひめ〉さんになに言ってるの?」
今まで黙っていた、先輩の友達が口を開いた。
「マキ、黙っとき。」
「姫さん。」
「…でも、あたし、もぉ、この顔で学校きたから、ナチュラルメイクの私を見られるのが恥ずかしい。
もし、ブスやったら…」
「なら私と一緒に来ます?学校。」
「え?」
「私が先輩の顔チェックします!
っで、ほんまにブスやったら、先輩が可愛くなれる、ナチュラルメイク探しましょ?
…まぁ、普通で可愛いと思いますけど。」
「あんた…」
「同じ、大阪人同士。
そんな、先輩やからって、嘘ついたりしません。
別にイジメられてもかまへんので。」