私が最後に盗んだもの。
「海鈴!」
いつもふわふわして、優しいお母さんが今日は焦っている様子。
「…どぉしたの?」
私はそっと、お母さんに話しかける。
「…怪盗ERICAがうちのペガサスの涙を盗みに来るみたい。」
「…え?」
怪盗ERICA。
その名前はニュースで何度も見た。
「でも、ペガサスの涙は帰ってくるでしょ?」
そう、ERICAは、1回盗むが絶対持ち主に返す。
「…そう…よね…?」
お母さんは気まずそうにそう言った。
そして、
「海鈴、部屋から一歩も出ちゃダメよ?
絶対!
一歩もよ?
もし、ERICAにあったら叫びなさい?」
お母さんは必死にそう言った。
「はい。」