私が最後に盗んだもの。
「あのね、西園寺くん。」
机に料理を並べながら西園寺くんに話しかける。
「ん?」
「…あの、
話があるの…」
「…うん。」
私は西園寺くんと机を挟んで向き合って座る。
「昨日の話なんだけど…
…ごめん」
「そっか…」
「……ごめん」
「いや、謝んなよ。」
「…ごめん。」
「じゃあ、俺今日出ていくな。」
「…え?」
「だから、この家出てくわ。」
「え?なんで…?」
「だって、好きな女とひとつ屋根の下に二人きりだと俺の体持たねぇーよ。」
「……体が持たない?」
「うん。」
「そだよね…こんなのと一緒に居たら疲れるよね…
ごめん。」
「い、いや、
そう言う事じゃなくて…
その…り、せい…が…///」
頭を掻きながらそう言った西園寺くん。
「えっと…その……ごめん…ね」
私も慌ててそう言った。
「じゃあ、今日出ていくな。」
「うん…
…辛くなったらまたSOS出してね。」
「“また”?」
「うん。
西園寺くんこの前、寂しそうな目してたから私、この家に住んでいいよって、
言ったんだよ。」
「…さすがだな。
うん。
でも、次は俺がお前のピンチの時、
俺が助けに行ってやるよ。」
「うん。
ありがとう。」