私が最後に盗んだもの。
この時私の何かが外れた。
「はぁー?!
テメー、夢見んのも大概にしろ!
テメーに触られたくねーし、
手料理も食わしたくねーし、
お前と寝たくもねーし、
居たくねーよ!!」
「え、ERICA…ちゃん?」
「私、ERICAじゃねーし、
マジで現実見ろよっ!!」
「ERICAちゃんは、そんな言葉遣いしない。
君はERICAちゃんじゃないっ!」
「これがERICAで海鈴なんだよ。
これが私なんだよ!!」
「違う、違う…」
「満乃っ?!」
「ッ!!
西園寺くん?!
なんで?」
「屋上でお前とその、男が見えたから
また、殺されかけてるのかと…」
西園寺くん、走って来てくれたのか、
額に汗が光ってる。
「違う…違う…違うっ!!
全部お前のせいだっ!
お前がERICAを変えたんだーっ!!」
急に叫び出した的田くん。
「え?」
私は西園寺くんとしゃべるのをやめ、
振り返る。
そこには拳銃を構えてる的田くん。
「なに…やってるの?」
「ERICAを変えた西王子を殺す!
こいつが居なかったら、
今頃僕たちは付き合ってた。
雲の上で幸せに暮らしてた。
だから…だからっ!」
カチッ
的田が、引金を引いた。
私は反射的に西園寺くんの前に立った。
バンッ
その音と共にお腹に激痛が走る。
立ってられなくなり、
後ろに倒れる。