君と手を繋ぎたくて
「……アレ?」
ふと目の前のチャラ男が、あたしを覗きこむようにして視界にはいってきた。
結構背が高いから、向こうは屈む形になる。
…てか、何で顔を覗きこまれないといけないのよ。
「……ヒナノ?」
「へっ」
何でこんなチャラ男、あたしの名前を知っているの。
こんなチャラい知り合い、身近にいたかしら?
そして、軽々と下の名前で呼んでしまう失礼極まりない男も。
「ヒナノだよな?
ヤマグチヒナノだろ、お前」
「……?」
下の名前だけではなく、上の名前も!?
何でコイツ、フルネーム知っているのよ。
こんなチャラい知り合い、いた記憶ないけど。
「…そう、ですけど?」
私はヤマグチヒナノなのだから、頷くしかない。