君と手を繋ぎたくて








「うわーマジか!
じゃお前、優志と付き合っているのか?」





付き合っている…?

優志先輩のことは好きだけど、何で知っているわけ?

全てを見透かしたような瞳であたしを見つめるチャラ男に、あたしは不信感しか抱いていなかった。






「お前昔っから優志のこと好きだったもんな」

「……はい?」

「優志の話になると顔を真っ赤にして、目が気持ち悪ぃほど泳いで。
付き合えて良かったな!」





昔から?

顔を真っ赤にして?

目が気持ち悪いほど泳ぐ?





…どういうこと?

昔からって何?

あたしが優志先輩のことを好きになったのは、入学式。

昔からと言うほど、時間も月日も経っていない。




“顔を真っ赤にして”も、“目が気持ち悪いほど泳ぐ”も、あたしはしない。

どちらかといえば、環奈に当てはまる。

「よくニヤニヤしないでいられるね」って、環奈に言われているんだもんあたし。




人違い?

でもヤマグチヒナノは学年にあたししかいない。

村木優志も、だ。







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