君と手を繋ぎたくて
「しかし優志もよく許したよな。
処女じゃねー女なんて、男からしてみれば嫌だけどな」
アハハッと何が楽しいのか笑うチャラ男。
あたしは笑うことなんて出来なかった。
確かにあたしはヤマグチヒナノだ。
だけど、処女だ。
今まで女子高だから、男と付き合ったこともない。
好きになったのも、優志先輩が初めてだ。
百合とかには全く興味がないし。
どういうこと?
処女を捨てたヤマグチヒナノは、優志先輩が好き?
優志先輩と付き合っている?
…信じられない単語が、チャラ男から弾けていた。
「…あの」
「ん?」
「人違いじゃないですか?」
「人違い?
でもお前、ヤマグチヒナノだって言ったじゃねーか」
「確かにあたしはヤマグチヒナノです。
でも、あたしは処女です」
口に出して言うと恥ずかしくて沸騰してしまいそうだけど。
それが真実なのだから仕方がない。