君と手を繋ぎたくて
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あたしとチャラ男―――鬼頭昇先輩は、住宅街を抜けた先にある喫茶店にいた。
住宅街の先にある、というのは以前優志先輩をストーカーした道を通り、クレープ屋さんのある通りのことだ。
スーパーから喫茶店まで色々揃っている。
あたしたちはその喫茶店で、あたしはミルクティーを、鬼頭先輩は珈琲を頼んで、向かい合っていた。
鬼頭先輩、と呼んでいるのは、そのまま先輩だから。
優志先輩や島田先輩、佐竹先輩と同い年なんだって。
今は高校に通わず、バイト三昧の日々を送っているみたいだ。
「改めまして、山口陽菜乃です」
「…漢字は」
突然腕を掴んで、「ヤマグチヒナノとは誰ですか」と聞いてしまった後輩に、無理矢理引っ張られる形で喫茶店に連れて来られたんだ。
鬼頭先輩は、見るからに機嫌が悪そうだ。
だけど「初心者相手に喧嘩はふらない」と言っているので、喧嘩に発展する恐れはないので、あたしは不機嫌なのを気にしないことにした。
…もしあたしが喧嘩初心者じゃなかったらどうするんですか、とは聞かない。
あたしはスマホのプロフィール画面を見せた。