君と手を繋ぎたくて








「…当たり前だろ。
だけど雛乃は、優志が好きだったんだ」

「……え………」






嘘、でしょ?





どうして。

どうして…。





中学の時、優志先輩が好きだったのも、山口雛乃。

高校で優志先輩を好きになったのも、山口陽菜乃。

同姓同名の、ヤマグチヒナノに告白されたんだ。

…先輩が、あたしを堂々と彼女だと言わないのも、納得がいく。





どうして、あたしはヤマグチヒナノなの。

どうして、先輩を好きになってしまったの。






「…今、山口先輩は……?」





聞かなくても、大体はわかってしまう。





山口雛乃先輩は、今高校にいない。

他の高校に行ってしまったと考えるのが、普通だろう。







< 111 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop