君と手を繋ぎたくて
俺は深い溜息をつくと、ベッドから降りて、部屋の入り口を開けた。
俺が部屋から出てくるのを見た弟が、パアッと笑顔を作った。
…本当俺は、コイツと性格が正反対だ。
「ユウ、寝てたのか?
だから何度も呼んだのに起きなかったんだな」
「……聖志(せいし)」
「何だよユウ」
「そのあだ名で呼ぶな、と何度言えばわかるんだ」
部屋の扉を閉め、聖志の横を通り過ぎて、リビングへ続く階段を下りる。
聖志は首を傾げながら、宿題のプリントを持ちながら俺の後をついてきた。
「……父さんと母さんは?」
「仕事だろ、どうせ」
誰もいない、静まり返ったリビング内に、俺らの溜息が響いた。
「どうせって何だよ聖志」
「別に。
ただ、仕事仕事って言って書いていなかった、学校へ提出するプリント。
クラスで出してないの、俺だけだからさ」
「……そう、か」
聖志はリビングのテーブルの上にプリントを置くと、台所へ向かい、カップ麺を2つ持ってきた。