君と手を繋ぎたくて
そのうちの1つを俺に渡した。
「……お湯は」
「沸かす、今から」
「ん」
台所へ再び引っ込んだ聖志を見て、俺は再び溜息をついた。
…正直、さっきまで寝ていたから、まだ眠気は吹っ飛んでいない。
聖志のプリントを見て、小学生レベルの算数を解いていく。
もう聖志は中学2年生だっていうのに、何でこんなレベルが低いんだ。
「あれ、やってくれてんのか」
「違う。
式だけ書いているだけだ。
その式を解くのは、お前だからな」
「はいはい。
ユウは優しいんだか厳しいんだか、わからねーや」
苦笑交じりに、ユウと呼ぶ聖志。
『ユウのこと、好きだったよ』
再び脳内にアイツの声が響いて、俺は思わず顔をしかめた。