君と手を繋ぎたくて










☆☆☆







物心ついて、すぐの頃だったと思う。

母さんから、2人の少女を紹介されたのは。




見るからに明るそうな島田華子と、

華子の1歩後ろで縮こまっている、山口雛乃。

母さんの学生時代の友人の娘だと知った。





俺らは3人で、近くの公園で、日が暮れるまで遊んだ。

それぞれ母親に帰りが遅くなって怒られたのも、1度や2度じゃない。

だけど俺らは怒られるのをわかっていながらも、毎日夜遅くまで遊んだ。




当時俺にも仲の良い男子はいたけど。

華子や雛乃と遊んでいる方が、楽しいと子ども心に感じていたんだ。

例え、誰かにからかわれて、遊ぶのをやめようか思っても。

2人と遊んでいるうちに、そんな気持ちもどこかへ飛んで行くんだ。






華子と俺は意見が合わないで、よく衝突した。

クラスメイトに関係を冷やかされ、お互い道端ですれ違っても無視する毎日が続いたこともあった。

だけど、俺らが衝突したりすれ違ったりする度に。

雛乃が泣いて、俺らは仲直りを繰り返した。




俺も華子も、雛乃の笑顔が大好きだったから。

雛乃が泣く姿は、見たくなかったから。

嫌いだ言い合っていたのに、それが嘘のように、また遊んでいたんだ。








< 117 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop