君と手を繋ぎたくて
☆☆☆
物心ついて、すぐの頃だったと思う。
母さんから、2人の少女を紹介されたのは。
見るからに明るそうな島田華子と、
華子の1歩後ろで縮こまっている、山口雛乃。
母さんの学生時代の友人の娘だと知った。
俺らは3人で、近くの公園で、日が暮れるまで遊んだ。
それぞれ母親に帰りが遅くなって怒られたのも、1度や2度じゃない。
だけど俺らは怒られるのをわかっていながらも、毎日夜遅くまで遊んだ。
当時俺にも仲の良い男子はいたけど。
華子や雛乃と遊んでいる方が、楽しいと子ども心に感じていたんだ。
例え、誰かにからかわれて、遊ぶのをやめようか思っても。
2人と遊んでいるうちに、そんな気持ちもどこかへ飛んで行くんだ。
華子と俺は意見が合わないで、よく衝突した。
クラスメイトに関係を冷やかされ、お互い道端ですれ違っても無視する毎日が続いたこともあった。
だけど、俺らが衝突したりすれ違ったりする度に。
雛乃が泣いて、俺らは仲直りを繰り返した。
俺も華子も、雛乃の笑顔が大好きだったから。
雛乃が泣く姿は、見たくなかったから。
嫌いだ言い合っていたのに、それが嘘のように、また遊んでいたんだ。