君と手を繋ぎたくて
中学入学とほぼ同時に、俺らの仲間に1人加わった。
それが同じく近所に住む、鬼頭昇だった。
まさか昇が俺らの関係を壊すことになるなんて。
その時は俺も華子も、思っていなかったから。
昇を含め、4人で放課後は毎日のように遊んだ。
中学2年の時だ。
母さんから、昇に関した悪い噂を聞いたのは。
昇が最近、元々仲の悪かった両親とますます仲が悪くなり、最近家出を繰り返していることを。
家出した昇が、この辺りで有名な不良グループの連中と付き合っていることも聞いた。
確かにその時、昇は学校へ来ないことが多かった。
人一倍体力のある昇だから、風邪だとは疑わなかった。
だけど、まさか不良グループと付き合っているなんて。
俺は母さんが言ったことを、信じられなかった。
親から昇の話を聞いたのは、俺だけじゃなくて。
華子も雛乃も、それぞれ親から聞いていたらしい。
放課後いつもの公園に集まっても、出るのは昇の話題。
昇が間違った道へ進まないように。
俺らはそう願っていた。