君と手を繋ぎたくて
教室に着いた俺は、今朝雛乃からもらった手紙を見た。
そこには、放課後1人で屋上に来てほしいというものだった。
俺は休み時間になると急いで教室を出て、雛乃たちのクラスへ向かった。
「雛乃!」
「ユウ?どうしたの?
また教科書忘れたの?」
「…俺、絶対待っているから」
笑顔で言ってやると、雛乃は途端に顔を真っ赤にして、照れたようにはにかんだ。
「大事な話があるの、ユウ。
必ず来てね。あたし待っているから」
「俺も絶対待っているよ」
何故雛乃が俺を呼びだしたのか、その時の俺は知らなかった。
だけど、何故か凄く嬉しさがこみあげてきたんだ。
授業中もニヤけるのを抑えられなくて、何度も先生に叱られた。
放課後。
俺は掃除をさっさと終え、屋上へと全速力で向かった。