君と手を繋ぎたくて
「もしもし?聖志?」
『あーユウ?
どうしたんだよこんな遅くに』
聖志は以前、雛乃が家に来た時に、雛乃が俺をユウと呼んでいるのを聞き、以前は兄貴と読んでいたが、ユウと呼ぶようになった。
当時は俺も気にしていなかった。
今では凄く、気になるけど。
「今学校なんだよ」
『は?
何でこんな遅くにいるんだよ』
「ちょっと用事があってな。
暫く帰れそうにないんだ」
『まぁ別に良いよ。
華子姉が家にいるし、ご飯に関しては問題ねーよ』
幼い時からお互いの家を行き来していた俺ら3人は、顔パスで家に入れる。
普段夜ご飯は俺が作っていて、聖志はまともに料理なんて出来ない。
だから料理の得意な華子が行ってくれて、凄く助かった。
『別に早く帰らなくて良いけどよ。
夜遅いから、帰る時は気を付けろよ。
今の時代は、男でも襲われたりするみたいだからな』
「あぁ、わかった」
本当、どっちが兄貴なんだか。
俺はスマホをポケットに仕舞いながら、苦笑した。