君と手を繋ぎたくて








「もしもし?聖志?」

『あーユウ?
どうしたんだよこんな遅くに』





聖志は以前、雛乃が家に来た時に、雛乃が俺をユウと呼んでいるのを聞き、以前は兄貴と読んでいたが、ユウと呼ぶようになった。

当時は俺も気にしていなかった。

今では凄く、気になるけど。






「今学校なんだよ」

『は?
何でこんな遅くにいるんだよ』

「ちょっと用事があってな。
暫く帰れそうにないんだ」

『まぁ別に良いよ。
華子姉が家にいるし、ご飯に関しては問題ねーよ』





幼い時からお互いの家を行き来していた俺ら3人は、顔パスで家に入れる。

普段夜ご飯は俺が作っていて、聖志はまともに料理なんて出来ない。

だから料理の得意な華子が行ってくれて、凄く助かった。





『別に早く帰らなくて良いけどよ。
夜遅いから、帰る時は気を付けろよ。
今の時代は、男でも襲われたりするみたいだからな』

「あぁ、わかった」





本当、どっちが兄貴なんだか。

俺はスマホをポケットに仕舞いながら、苦笑した。








< 123 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop