君と手を繋ぎたくて
それから暫くの間、担任に薦められ、俺は家に引きこもっていた。
その間に、父親の仕事の都合で、華子は転校して行ったと、聖志から聞いた。
両親は雛乃の死のあと、仕事がやけに忙しくなり、家へ帰ることが殆どなくなった。
出張なんて日常茶飯事で、家に仕送りをするぐらいでしか関わらなかった。
聖志はあの事件の後も、普通に学校へ通っている。
幸いいじめなど、そういうことはないみたいだ。
華子は転校する前もしてからも、連絡は一切なかった。
たまたま聖志が下校途中に、引っ越し用トラックに荷物を入れている華子に会い、そこで初めて聞いたんだ。
…別に良い。
俺は華子の大事な親友を奪ったんだから。
嫌われたままで良かった。
雛乃の両親は、娘の死後、どこかへ引っ越したらしい。
1回だけ謝罪しに行ったことはあるが、雛乃の両親は雛乃同様に優しく、俺は悪くないと言ってくれた。
雛乃の両親も、俺の両親同様仕事が忙しく、雛乃に構う時間がなかったみたいで。
昇の存在は雛乃から聞いていたようだが、昇が不良グループのリーダー的存在になっているとは知らなかったみたいだった。
昇やその不良仲間は、少年院に入ったらしい。
雛乃の死後警察が調べ上げ、昇たちを調べたところ、認めたらしい。
やっぱり雛乃を襲った動機は、雛乃が昇ではなく、俺を好きになり嫉妬したかららしい。
…そんな些細なことで、雛乃は傷ついたんだ。
雛乃を殺したのは俺かもしれないけど、雛乃を自殺まで追い込んだのは昇だ。
俺は一生、昇たちを許すことが、出来ないだろう。