君と手を繋ぎたくて
「後輩?
じゃあ変な女だな。
追い返すの、決定だ」
掌でシッシッとする聖志くん。
…イケメンだけど、性格最悪かも。
「やめろ聖志。
…ヒナちゃん、何もおもてなしとか出来ないけど、入って」
「ユウ、良いのかよ」
「良いでしょ、別に。
聖志だってあともう少しで出掛けるんでしょ」
「そ!
ミナちゃんに会いに行くんだ!」
ミナちゃん、の話をしている聖志くんは、やけに嬉しそうだ。
多分彼女なんだろうけど。
いくつだか知らないけど、聖志くん夜遅くに出掛けて良いの?
…まぁ人のこと言えないけど。
「…良いんですか?」
「どうぞ」
「じゃあ、お邪魔します」
ウキウキ気分の聖志くんの横を通り過ぎ、あたしは初めて、先輩の家へと足を踏み入れた。