君と手を繋ぎたくて








頑張ってこらえていた涙だけど。

やっぱりこらえきれなくて、溢れ出してきた。





先輩は驚いていた。

あたしが雛乃先輩を知っていることに。

先輩の過去を知っているのに。






「…ヒナ、ちゃん。
どうして…雛乃のこと…」

「…先輩と別れてから、会ったんです」

「誰に…?」

「…鬼頭、昇先輩と…です」






存在を覚えていたのか、先輩はスッと無表情になった。

やっぱり今でも、憎んでいるのかな。

大事な幼馴染で、好きだった子を自殺へ追い込んだ鬼頭先輩を。







「ヒナちゃん…アイツに、会ったの」

「はい。
そこで全部…聞きました」





本当は、先輩から聞きたかった。

先輩が現在、雛乃先輩をどう思っているのか知りたかった。

今でも好きなのか、それとも―――……。








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