君と手を繋ぎたくて
先輩はふっと息を吐いた。
「…アイツ、元気にしてた?」
「今は少年院とかに入った人でも気軽にバイト出来るところで働いているそうです」
「……そう」
「鬼頭先輩に…連れて行ってもらいました。
先輩たちの…出身中学に」
「……驚いたでしょ。
中学校が廃校とか、珍しいからね」
「はい……」
鬼頭先輩が言っていた、雛乃先輩が死んだ場所。
柵は当時のまま残されているのか、柵の一部に細長い線が何本もこすってあった。
多分、優志先輩が中学時代につけていたベルトとかがこすれてついたものだろう。
…学校も、当時から変わっていないんだ。
「…入学式の時、名前聞いたでしょ」
「はい」
「ヒナちゃんの名前初めて聞いた時は、驚いたよ。
後日漢字は違うって聞いたけど、まさかアイツと同じ名前なんてな」
「あたしも鬼頭先輩から聞いて、写真も見せていただいた時、驚きました」
優志先輩が立ちあがり、机の引き出しを開けた。
そして引き出しの奥深くからフォトフレームを取り出すと、あたしへ見せてくれた。