君と手を繋ぎたくて








それは鬼頭先輩のスマホで見た写真と、一緒だった。

…いつまでもずっと、この4人が仲良くいられたら、良かったのに。

そうしたらきっと、皆幸せでいられたはずだ。

優志先輩も、十字架を背負わずに済んだのに…。








「…似てるよね、ヒナちゃんと雛乃」

「……はい」






呼ばれた時は、特に気にせず、驚いただけだったけど。

よく考えたら、先輩があたしをヒナちゃんと呼ぶのにも、理由があったんだ。

先輩にとって、ヒナノと呼び捨てにするのは、雛乃先輩だけなんだ。

やっぱり今でも、先輩にとって雛乃先輩は…大事な、人なんだ。







「…先輩、正直に答えてください。
あたしと雛乃先輩、どちらが好きですか」






あたしって本当に、意地悪な後輩だ。

先輩をこれ以上苦しませるつもりはないのに。

聞きたくて、しょうがなくなるんだ。






でも、良い。

例え雛乃先輩を選んだとしても。

あたしは、それでも良いと思えるんだから。









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