君と手を繋ぎたくて








「……ッ」





あたしは再び泣きだした。

写真を見るときには泣いていなかったのに。






羨ましいよ。

優志先輩の心を独占できる、雛乃先輩が。

鬼頭先輩の心にも、島田先輩の心にも。

死後も尚、誰かの心に残っている雛乃先輩が。





あたし、こんなにも嫉妬深い女だったんだ。

こんなにも、後に引き返せないぐらい、あたしは優志先輩が大好きなんだ。

フラれて、次の恋が出来るまで、時間がかかりそうだな……。
















「……ヒナノが、好きだよ」






あたしの嗚咽だけが響く先輩の部屋に、写真のような笑顔を浮かべた先輩が、言った。









< 154 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop