君と手を繋ぎたくて
「……ッ」
あたしは再び泣きだした。
写真を見るときには泣いていなかったのに。
羨ましいよ。
優志先輩の心を独占できる、雛乃先輩が。
鬼頭先輩の心にも、島田先輩の心にも。
死後も尚、誰かの心に残っている雛乃先輩が。
あたし、こんなにも嫉妬深い女だったんだ。
こんなにも、後に引き返せないぐらい、あたしは優志先輩が大好きなんだ。
フラれて、次の恋が出来るまで、時間がかかりそうだな……。
「……ヒナノが、好きだよ」
あたしの嗚咽だけが響く先輩の部屋に、写真のような笑顔を浮かべた先輩が、言った。