君と手を繋ぎたくて








…ですよね。

思っていた、結果だったよ。

やっぱりね。

…うん、わかっていた、よ。






あたしはゆっくり立ちあがり、頭を下げた。







「優志先輩」

「ん?」

「……ありがとう、ございました」





頭を上げたあたしは、出来る限り笑った。

そして会釈をして、部屋の入り口へと向かった。







「……ヒナちゃん?」





先輩の不思議そうな声が聞こえたけど、あたしは無視することにした。

ゴメンネ、先輩。





ゆっくり扉を閉めたあたしは、玄関へ向かって歩きだした。

音痴な聖志くんの歌声は、聞こえて来なかった。








< 155 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop