君と手を繋ぎたくて
「ご、ごめんなさい優志先輩!
大丈夫ですか、怪我はないですか!?」
「大丈夫。
そんなに気にしないで」
先輩がどこも怪我していないのを確認し、あたしは再び立ち上がって出て行こうとした。
だけど、それは出来なかった。
先輩に、
ずっとあたしに触れなかった先輩に、
―――腕を掴まれてしまったのだから。
「え…せんぱ…い……?」
「ヒナちゃん、どこ行くの」
「どこ行くって…。
あたし、先輩にフラれたから…。
家に帰ろうと……」
「俺がヒナちゃんをフッた?
いつ、どこで?」
妙に真面目な顔をして聞いてくる先輩。
…冗談を言っている風には聞こえない。