君と手を繋ぎたくて
ふと脳内で想像してみると、近くにいる3人に聞こえないか心配になるぐらい、心臓がドキドキ言い始めた。
同時に体温も上がっているみたいで、顔が火傷しそうなぐらい熱い。
思わず両手で顔を覆ってしまった。
「何何、陽菜乃。
想像しちゃったの?」
「陽菜乃ちゃん可愛いなぁ」
絶対真っ赤なあたしを見て、からかうバカップル。
違う、と否定したいところだけど、否定出来ない。
だって、想像してしまったんだから、真実だから。
優志先輩とは本格的に付き合い始めたけど。
まだ目の前のバカップルなほど、イチャイチャ出来ない。
小学生のカップルみたいな関係なのだ。
優志先輩は、雛乃先輩を助けられなかったトラウマから、誰かと触れることが苦手になってしまったらしい。
短時間ならオッケーみたいだけど。
巷にいるカップルのように、デートの間ずっと繋ぐってことは出来ないみたい。
別に良いの、それで。
いつか繋げるようになれば。
隣でずっと、笑っていることが出来れば。
あたしはもう、
何も望まないと言えるから。