君と手を繋ぎたくて
ギュッと優しく繋いでくれる優志先輩の手は。
凄く優しくて、温かくて。
この手を繋いでいれば、どこへでも行ける。
そう思えるほど、力強かった。
頼もしかった。
「あら、ユウシにヒナノじゃない」
下駄箱で靴を履き変えていたのは、島田先輩だった。
相変わらず、大人っぽくて、素敵な人だ。
「……あら」
島田先輩は、手を繋いでいるあたしたちを見て、嬉しそうに声を上げた。
その声も顔も、本当に幸せそうで。
きっと、大事な幼馴染を助けられなかった幼馴染(カレ)の幸せを、彼女も願っていたのだろう。
「…良かったわね、ユウシ」
「……もう、離さないから」
「絶対よ?」
「当たり前だ」
少し優志先輩と会話をした島田先輩は、自分より背の低いあたしを見た。