君と手を繋ぎたくて
「どこが違うんですか……?」
「そんなの自分で考えなさい」
「え、そんな!」
「じゃユウシにでも教えてもらいなさい」
あたしたちに踵を返し、自分の教室の方向へ向かって行こうとした島田先輩だけど。
止まって、振り返った。
「ヒナノ」
「はい!」
「わたしのこと、華子先輩って言いなさい。
わたしはヒナノって呼んでいるのに、他人行儀すぎるわ」
「わ、わかりました!華子先輩!」
「ユウシのこと泣かせたら、許さないから」
「それ、逆じゃないですか!?
ちょっ、華子先輩!!」
「アハハッ」と楽しそうに笑いながら、華子先輩は行ってしまった。
「大丈夫だよヒナちゃん。
俺はヒナちゃんに泣かされるほど弱くないから」
「あたしが優志先輩を泣かすはずないじゃないですかっ!」
「…ねぇ、雛乃。
わたしたちのこと、見てる?
ユウシね、今凄く幸せそうだよ。
小さい時から一緒にいたけど、ユウシがあんなに幸せそうなの、初めて見た気がするんだ。
ヒナノは大丈夫だよ。
ユウシの過去や、拒絶を見たり聞いたりしても、諦めないんだもん。
普通なら、途中で諦めてしまうかもしれないのにね。
ヒナノなら、大丈夫。
きっとユウシのこと幸せに出来るよ。
だから雛乃も、ヒナノのこと好きになってあげてよ。
そうだ。
雛乃、報告があるんだ。
今度またお墓参りに行ったときに話すけど。
わたしね、彼氏が出来たんだ。
最初告白された時は驚いたんだけど、ちゃんと罪も償っているみたいだし、仲の悪かったご両親とも仲良くしているみたい。
最初は本当に許せない存在だったんだ。
だけど、アイツは本当に心から、雛乃のことが好きだったんだよ。
一緒にいたら、何故か雛乃に嫉妬しちゃったんだ、わたし。
それで好きなんだなって。
馬鹿みたいでしょ、わたしって。
笑っても良いよ。
雛乃。
天国か生まれ変わるのかよくわからないけど。
幸せになってね……」