君と手を繋ぎたくて
エピローグ
☆ー☆ー☆
最初は、本当に突き放そうかと思った。
入学式では衝撃的な出会いをしたから、名前と顔は覚えていたけど。
好きだって告白された時は、驚いた。
嬉しくなかったって言えば嘘になるけど、付き合う気なんてなかった。
年下が恋愛対象でないわけではない。
別に年上年下関係ない。
だけど、俺は大事な人も守れなかったから。
付き合う資格なんて、ないと思っていた。
だけど彼女は、いくら俺が突き放そうとしても、離れて行かなかった。
よく泣いたりして、笑うことなんてなかったのに。
些細なことで笑って。
俺が華子と話しているだけで嫉妬したり。
決して穏やかな波じゃなかったはずなのに。
彼女は俺を好きだと言った。
頑張っている彼女に。
諦めない彼女に。
好きだと言い続ける彼女に。
―――惹かれている、俺がいた。