君と手を繋ぎたくて
諦めきれない!
先輩のことを考えていると、環奈に頭を軽くはたかれた。
「環奈……」
「私たちも早く行かないと。
遅刻になるよ」
「……うん」
ぎこちなく環奈に返事を返したあたしは、環奈を追って校舎内へ入って行った。
そして小走りで階段を5階まで上がって、ギリギリの所で自分の席へ座った。
入学してからまだ2ヶ月しか経っていないので、席はまだ出席番号順。
だからあたしの後ろの席は環奈だ。
ちなみに環奈の山田が、このクラスで1番最後。
担任が入ってきて、ホームルームを始める。
話題は特に関係ないことだったので、あたしは後ろを向いた。
席は後ろの方だから、こうして環奈と話しても先生たちに怒られたことはない。
「環奈~…」
「振られちゃったね…」
入学早々失恋ですか。
何だか高校生活が不安になってきちゃったよ。
「でも不思議だよね。
村木先輩、彼女いないんでしょ?
天使ちゃんと比べても陽菜乃を選んだのに。
陽菜乃のこと好きじゃないのかね?」
環奈。
アンタ酷いことサラッと躊躇いもなく言うなよ。
失恋したばかりの友人にさ。