君と手を繋ぎたくて
ハルのことは、嫌いじゃない。
クラスで浮いて、孤立気味だった俺に、話しかけてくれた奴だから。
この学校は1年時のクラスのまま、卒業を迎えるから。
ハルとはすでに1年一緒にいるし、この先卒業するまで一緒にいるんだ。
嫌いじゃない。
だけど、ハルが雛乃と似たような結末を辿ったとしたら、と俺は深く考えてしまって。
明るく毎日欠かさず話しかけてくれるハルにも、上手く接することが出来ずにいた。
…別に良い。
誰とも付き合わなければ、誰かが傷つくこともない。
ハルとは今の曖昧な友達未満の関係を続けて行けば、何もない。
勿論俺は自分から誰かに話しかけることがないから、ハル以外の友人が出来ることもないだろう。
ハルも1年俺と一緒にいるけど、他にも仲の良い友人は沢山いる。
いつしかハルも、離れて行くんだろう。
それでも、良い。
俺は何も後悔しないし、自分の行動を責めたりしない。
1人でいることが、雛乃への謝罪だから。
入学式は終わったものの、1年の学年主任となる先生がマイクを使って話していて。
まだ帰りそうにない。
…早く帰りたい。
この人が沢山いる場所から、離れたい。
俺には、不似合な場所でしかないから。