君と手を繋ぎたくて

「何か可愛い子いたか？」

「…別に俺、そういうの興味ない」

「優志、それでも男か？」





別に恋愛なんて、しなくて良い。

興味もないし。






「はぁ…やっぱり可愛い子いねーなぁ」

「でかい声で言うな」

「オレ、中学の時に、すっげぇ可愛い後輩ちゃんいたんだよ。
密かに狙っていたんだけど、年下だから会う機会なくて。
オレ中学の時帰宅部だったから、後輩と親しくなる時もなかったから。
…あの子、元気かなぁ？」

「……ふぅん」

「優志はいなかったのか？
同い年とか先輩、後輩に可愛い子」





可愛い子、か。

俺の中では雛乃だな。

だけど、絶対言わない。

あれは俺の、忘れたくても忘れられない、罪だから。






「いない」

「寂しい男だなぁ」

「俺はハルと違うんだよ」




ハルに背を向け、舞台へ向かおうとすると。