君と手を繋ぎたくて








立ち上がった彼女は、見る限り怪我をしていないみたいだ。

良かった、無傷で。






「環奈、帰ろう?…環奈?」





隣で同じように床に倒れこんでいた友人を見て、彼女は再び驚いたように目を見開いた。

俺も彼女と同じ方向を見て、唖然とした。





ハルと、環奈と呼ばれた1年生が、無言で見つめ合っていた。

しかも、ハルが環奈ちゃんの上に四つん這いになっている。




俺はハルが環奈ちゃんを庇ってそういう体制になったことを知っているが。

その一部始終を知らない人が見れば、変なことを想像してしまうような図だった。




暫くその場に座りこんでしまっていた俺だけど、周りの雰囲気が気まずいから。

彼女の死角に腕を隠しながら、ハルたちへと近づいた。





「ハル。何しているんだ」

「…………」

「ハル」





頭を軽く叩くと、ハルは我に返ったように俺を見た。

そして、自分の体制に気がついて、急いで立ちあがった。








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