君と手を繋ぎたくて
「まぁそんな落ち込まないのね陽菜乃。
かっこいい男なんて、村木先輩以外にもいるはずだよ?」
「そうだけど……」
確かに村木先輩以外にも、かっこいい男は沢山いる。
イケメンの宝庫だ~って入学早々喜んでいる女子がいたくらいだし。
アイドル並みのイケメンは、かなり多い方だ。
だけど。
あたしは村木先輩が良い。
村木先輩以外、かっこいいと思えない。
少なくとも、村木先輩が在学中は。
「村木先輩には振られたんだから。
他の彼氏探せば?」
「……嫌だ」
「陽菜乃、アンタ頑固ね」
「頑固で良い。
…少なくとも、村木先輩が卒業するまでは、他の恋は出来ないかも」
あたしの脳内は、入学式のあの一件から、村木先輩で埋め尽くされている。
転んだところを助けてもらった、などといった少女漫画みたいな展開が起きたとしても。
あたしはもう、村木先輩以外は考えられないんだ。
「彼氏欲しいんでしょ?
少女漫画みたいな恋、したいんでしょ?」
「うん。
そのために、あたしは共学高校を選んだんだから」