君と手を繋ぎたくて







会場から出て、ホールの廊下を早足で歩いていると。

後ろから走る音が聞こえた。







「先輩ッ!」

「……何の用?」





冷たい言い方だったと思う。

だけど俺は早く出たくて仕方なかったから。

片付けとかは残っているけど、面倒だったし。

世の中で言う、サボるつもりだった。






「どこに行くんですか?
救護室はあっちですよ」





追いかけてきた雛乃似の1年生は、首を傾げた。

…てかこの子、それだけ言いに来たの?






「救護室になんて行かない。
俺は家に帰るんだ。
…これ以上、俺の邪魔しないでくれない?」





見ていたくなかった。

雛乃に似ている、ヒナノを。






< 181 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop