君と手を繋ぎたくて
何も言わずに首を傾げ、不思議そうな顔をしている陽菜乃ちゃん。
俺も一緒になって首を傾げ、陽菜乃ちゃんが疑問に思っていることに気がついた。
「ハルってのは、さっき陽菜乃ちゃんの友達―――環奈ちゃん?と一緒にいた奴だよ」
「あ、そうなんですか!」
「陽菜乃ちゃんは環奈ちゃんと一緒に帰るんでしょ?」
「はいっ!」
「行こうか」
俺が救護室を出て、先を歩く。
陽菜乃ちゃんは俺の3歩ほど後を歩いてきた。
「陽菜乃ちゃん、何でそんな後ろにいるの?」
「あ、すいません。
中学の時の癖なんですよね」
「癖?」
「はい。
あたし、中学の時練習が簡単そうだったバドミントン部に入っていたんですけど。
そこは練習が緩い代わりに、先輩の3歩後を歩くよう言われていたんです」
「そうなんだ……」
バドミントン、か。
雛乃もバドミントン、好きだったよな。
体育でバドミントンだと、凄く生き生きしていたのを思いだした。
…決して顔には出さないけど。
「面白いルールだね」